プロジェクト紹介
コブハクチョウ調査
国内と東アジアの分布
国内の主な繁殖集団
少数の繁殖例は各地で見られますが、まとまった数の繁殖集団としては以下の地点が知られています。繁殖期と越冬期で個体数が変わる場所があり、国内での渡りをしていると考えられます。なお、自由に飛べる状態で放し飼い飼育されている群も繁殖集団に含めています。
小川原湖湖沼群(青森県)
小川原湖と鷹架沼が主な繁殖地になっていて、およそ100羽の群がいます。人から餌はもらわず、豊富な水草を食べて生活しています。モニタリングサイト1000の記録によると、冬季は数が減りますが、11月の小川原湖湖沼群の個体数が1月の松川浦(福島県)と小川原湖湖沼群の個体数とほぼ等しくなるため、松川浦に渡っていると推測できます。松川浦では冬にしかコブハクチョウが見られません。
牛久沼(茨城県)
飼育施設があり、20~30羽放し飼いされています。
手賀沼(千葉県)
手賀沼周辺と利根川流で100~150羽が生息しています。人からの給餌にかなり依存しています。
山中湖(山梨県)
約50羽が周年生息しています。人からの給餌にかなり依存しています。
宍道湖(島根県)
繁殖期は40羽ほどが見られますが、冬季は数が10羽程度まで減ります。
東アジアの分布
コブハクチョウはユーラシア大陸全体に自然分布しています。東アジアではロシア、モンゴル、中国に繁殖地があり、黄海沿岸と日本海に面したロシアから北朝鮮沿岸が越冬地になっています。
東アジアのコブハクチョウ分布図。緑が繁殖地、青が越冬地、日本は留鳥。斜線は過去に生息地とされていた範囲。Meng et al. CC BY 3.0
FANJUAN MENG, LIDING CHEN, LEI FANG, BEIXI ZHANG, CHANG LI, GERELT ZHAO,
NYAMBAYAR BATBAYAR, TSEVEENMYADAG NATSAGDORJ, IDERBAT DAMBA, SONGTAO LIU,
KEVIN A. WOOD, LEI CAO & ANTHONY D. FOX. (2020) The migratory Mute Swan Cygnus olor population in East Asia. Wildfowl Special Issue 6: 73–96