プロジェクト紹介

子雀ウォッチ


スズメの繁殖調査にご協力ください


2012年で調査一時休止、5~10年後に再開予定
 バードリサーチにも,しばしば,「スズメが減っているように感じているのだけれども,全国的にはどうなんだろうか?」という電話がかかって来ます。立教大学の三上修さんが,各種文献,農業被害や捕獲数といった様々な記録をまたとめたところ,ここ数十年で急激に減少しているのではないかということです(三上 2009a)。
  では,なぜ減っているのでしょうか? その可能性の1つとして,緑地の減少にともなう食物の減少が考えられます。三上さんの熊本での調査から,都市ではスズメのヒナ数が少ないのではないかという結果が示されています(三上 2009b)。しかし,これは他の地域でもあてはまることなのでしょうか? そしてそうだとしたらスズメの減少の原因になっているのでしょうか?
  そこで,三上さんたちのグループと共同で,全国のスズメの繁殖成績(何羽の子供を育てるか)の調査を行なうことにしました。この調査により,日本のスズメの減少の原因が少しみえてくるかもしれませんし,定期的にこのような調査をして,スズメの繁殖成績の変化を見ていくことによって,身近な環境の健全性の「健康診断」のようなことができるかもしれません。簡単な調査ですので,ぜひ調査にご協力ください。
  
文献
三上修. 2009a. 日本におけるスズメの個体数減少の実態. 日本鳥学会誌 58: 161-170.
三上修. 2009b. スズメはなぜ減少しているのか? 都市部における幼鳥個体数の少なさからの考察. Bird Research 5: A1-A8.



スズメ
 全長14~15cmほどで全国に生息しています。ツバメとともに,最も身近な鳥の1種です。人間との関係が深く,集落から人がいなくなると,スズメもいなくなってしまいます。(写真:内田博氏)
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スズメ


スズメの減少
 既存の資料をまとめると,ここ数十年でスズメは急激に減少してしまっているようです。たとえば生息数の指標となると有害鳥獣駆除や狩猟で捕獲されたスズメの数は年々減少しています。
スズメの減少の原因はよくわかりませんが,今回調べる食物の減少とともに気密性の高い家が増えてきたことによる繁殖場所の減少などが考えられています。

スズメ

三上(2009a)を改変


都市部では子が少ない?
 三上さんの熊本での調査では,都市部では,1羽しかヒナのいないスズメが多かったのに対して,農村部では2~3羽のヒナが普通でした。これは,他の地域でも言えることなのでしょうか? 今回の調査でそれを調べます

巣立ちビナの数