プロジェクト紹介
ヒクイナ調査(調査は終了しました)
(調査は終了しました)ヒクイナを探してください
ヒクイナは、日本では北海道、本州、佐渡、隠岐、四国、九州で繁殖をしています。北日本では夏鳥ですが、九州や沖縄県では冬期も生息しています。時代劇の夏の夜のシーンなどにも鳴声がよく使われるほど、その特徴的な鳴声は、夏の風物詩として親しまれてきました。
しかし、このような身近な鳥だったヒクイナが今、減少傾向にあるようです。1970年代と90年代に行なわれた環境省の全国鳥類繁殖分布調査では、ヒクイナの分布が全国的に縮小しており、特に東日本でその減少が顕著なことが示されています。
栃木県でも、1980年代前半までは平野部の河川や沼の周りの草むら、水田、奥日光の戦場ヶ原と普通に生息し、朝夕には鳴声が聞かれ、雛連れの姿もよく観察されました。ところが、近年、めっきりとヒクイナの鳴声を聞くことがなくなってしまいました。1995年と1996年、2002年に過去にヒクイナが確認された場所で再びヒクイナを探すとともにアンケートをとったところ、1996年には1980年代までに生息が確認されていた15か所のうち3か所で、2002年には43か所のうち4か所でそれぞれ生息が確認されただけでした(平野ほか 1997、 2003)。これらの結果に基づき、2005年に栃木県版のレッドデータブックでは、絶滅危惧?T類に選定されました(栃木県林務部自然環境課・栃木県立博物館 2005)。
インターネットで各県のレッドデータブックを調べてみると、多くの県で何らかのランクに選定されていました。特に、千葉県や埼玉県など関東地方では、絶滅の危険度が高いランクでした。一方、徳島県や佐賀県など一部の県のレッドデータブックには掲載されていませんでした。地域によって、ヒクイナの取り扱いが異なっているのです。こうした違いは、全国的にみるとまだヒクイナの良好な生息環境が残されている地域があることを示しているのかもしれません。それとも、ただ単に詳しい情報がないためなのでしょうか。
そこで、バードリサーチでは、全国的な規模でヒクイナの生息調べを実施します。ヒクイナは現在日本にどれくらい生息しているのか、日本のどの地域で減少しているのか、あるいはまだたくさん生息している地域があるのか、それはどういった環境なのか、といったことについて私たちと一緒に調べてみませんか。野外調査は時間がないのでできないが、ヒクイナの情報を持っていると言う方はアンケートだけでも結構ですので、ぜひご協力ください。
[引用文献]
平野敏明・五反田薫・高松健比古. 1997. 栃木県におけるヒクイナの生息状況. Accipiter 3: 1-6.
平野敏明・君島昌夫・小堀政一郎・小堀脩男・志賀陽一. 2003. 栃木県におけるヒクイナの生息状況(2002). Accipiter 9: 1-9.
栃木県林務部自然環境課・栃木県立博物館編. 2005. レッドデータブックとちぎ. 栃木県林務部自然環境課、 宇都宮.