◯安芸西条・八本松 (あきさいじょう・はちほんまつ)
 Akisaijyou-hatihonmatsu

  モニタリングサイト1000 シギ・チドリ類調査 [一般サイト]

サイト位置

広島県東広島市西条町
北緯34.42 東経132.71

サイト環境

生態系タイプ 水田
環境タイプ 水田

保護状況


調査代表者

木本誠一(2010-   )




調査範囲



シギ・チドリ類

3シーズンの主な構成種-安芸西条・八本松

     
春の渡り期(4・5月) 秋の渡り期(8・9月) 越冬期(12・2月)
Total 156.3 Total 147.9 Total 36.0
1 ケリ 65.9 ケリ 56.4 ケリ 11.0
2 タシギ 45.3 タシギ 51.3 タシギ 9.6
3 コチドリ 16.0 クサシギ 8.9 タゲリ7.3
4 クサシギ 7.4 コチドリ 8.4 クサシギ5.9
5 タカブシギ 5.3 タマシギ 7.9 タマシギ1.7
 ※2000年からの年平均個体数(羽):調査のない年は除く

3シーズンの最大観察数合計のトレンド


 ※2000年から2018年まで
 ※サイトにおける各種の最大観察数(羽)を合計

サイト概要

当地は、海より北へ約15Km内陸で、標 高約200~230m位の盆地の田園地帯である。水田、小河川・側溝等の淡水の湿性地帯を嗜好する内陸性シギ・チドリ類に利用されている。1997年以降の調査では31種を確認している。繁殖種はタマシギ・コチドリ・ケリ、越冬種は、タマシギ・ケリ・クサシギ・タシギであり、タマシギ・ケリは留鳥となる。それ以外は春秋の渡りの中継地としての利用である。1年を通してのシギ・チドリ類の中での割合は、ケリが最多を占め、1987年~2021年 (1571回調査)で57.86%となる。以下、②タシギ:16.36%、③コチドリ:7.26%、④クサシギ:5.09%、⑤タマシギ:3.72%、⑥タゲリ:2.87%、⑦タカブシギ:2.36%(以下の種は1%未満で、不定期に通過する渡り鳥である)となっている。

課題

当地に於いては、かつて、雨が降らなくても、沼地由来の土壌、伏流水等の要因によって湿性度が高い為、常にぬかるんだ田、湿ったワラで覆われた刈田等が多くあった。シギ・チドリ類は、この様な環境を嗜好し、よく利用してきた。2000年代後半以降、特に湿性度が高さ故に農作業がしにくく休耕されていた田の宅地化が顕著となった。それ以上に影響が大きかったのは、圃場整備と農道側面のコンクリート化による田の乾田化である。かつて、稀に複数回飛来していたコシャクシギ(最終確認年: 2000年)、アメリカウズラシギ・サルハマシギ(最終確認年: 2004年)、オジロトウネン(最終確認年: 2006年)の様に、2000年代後半以降に飛来しなくなった種が複数あるのはこの影響と推測する。合わせて、現存種にとっても一部を除いて減少すると共に、新たな課題も見えてきた。タシギは、50羽以上と多数が飛来する年もあるが、以前の様に、長期滞在をしなくなっている。かつて、50羽以上の大きな群れが来ると、ある程度の期間滞在していた。要因としては、晴天続きでも、休耕田等の枯れ草や藁の下が湿っていて、その中の土中生物を採餌できていた。しかし、今は、雨後、すぐに、田が乾いてしまい、ほとんどが居なくなる。圃場整備自体は、20年以上前に終わっているが、その効果が顕著となり、特に、農道の法面のコンクリート化により、おそらくは水脈の断絶されたことが要因で、乾田化が進んでいる。これが、タシギに影響していると考える。繁殖種であるタマシギは2021年度、つがい形成までには至ったものの、巣・幼鳥の確認が初めてできなかった。1987年以降では初めてのことである。次にケリの繁殖成功数が2018年までは、10つがい以上確認できていたが、2019年降は、10つがいを越えることはなくなっている。冬季について、ケリは2000年度初めて、越冬が確認された。それ以降、越冬が継続していたが、2019年度冬季に初めて、越冬が途絶えている。2020年度は、越冬が確認できたもののも今後は予断が許されない。これらの内陸性湿地での繁殖種・通過種・越冬種の何れも要注意と考えている。(2022年1月現在)

サイトPhoto

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