関東のカワウのモニタリングは、1994年以来(財)日本野鳥の会が続けてきた調査ですが、10年の節目となる2004年3月の調査を最後に終了されました。そこで、2004年度よりこの調査はバードリサーチで引き継がせていただくことになりました。
2004年7月に第1回目の調査を行いました。のべ84名の調査員の皆さまにご協力いただき、合計59ヶ所のねぐらを調査しました。
今回カウントされた個体数は、関東全域で15,951羽でした。カワウによる漁業被害の訴えの増加とともに、カワウの個体数が爆発的に増えているように思われがちですが、関東のカワウ個体数は2001年くらいから安定してきているようです。
夏期には多くのカワウが東京湾に採食に集まり、沿岸部のねぐらを利用する個体が増えるので、今回の調査でも千葉県と東京都でカワウの数が多くなっています。例えば、ねぐらへの帰還方向の調査結果から東京湾葛西沖を主に採食場所としていると考えられる荒川河口にあるねぐらでは、冬はおよそ700羽、春は200羽がカウントされていますが、今年の夏には約3000羽のカワウがねぐら入りしていることがわかりました。
2004年7月関東のカワウのねぐら箇所数と個体数(都県別)
営巣数は、全体で295巣。7月は繁殖期の後期にあたり昨年まではもっと少なかったのですが、営巣時期が長引いてきているようにも思われます。ねぐらの箇所数は、増加し続ける傾向にありました。しかし、2003年12月の56ヶ所をピークに2004年3月と今回は連続して減少しています。
今回、特に大きく減少したのは神奈川県でした。ねぐらにしていた人工物の撤去や工事などの影響でねぐらが放棄されていることが調査からわかりました。その他、被害防除対策の効果が現れたのかもしれませんし、コイヘルペスの影響でコイ・フナの放流が行われなかったことが影響した可能性も考えられます。また、新しく作られたねぐらを見つけられていない可能性もあります。
新しいねぐらを発見された方は、下記まで情報をお寄せください。
また、次回12月の調査へのご協力も宜しくお願いいたします。
連絡先 加藤ななえ
図は過去9年間(1994年〜2002年)のねぐら個体数の平均を、海岸線から10キロメートル以内のねぐらを沿岸部ねぐら(橙色)、それ以外を内陸部ねぐら(緑色)として分類し、7月と12月の個体数の違いを表わしています。夏は、カワウにとって採食しやすい魚が内湾の比較的浅い沿岸部に多くなると推測されています。一方冬は、水温の低下とともに魚が深みへ移動するため、魚を捕まえることが難しくなるのだろうと考えられています。
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