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冬鳥ウォッチ  ― 日本で越冬する小鳥の群れの調査―

2006/07年冬の結果

 バードリサーチでは,冬鳥の渡来状況をモニタリングするために,2006年の冬から新たに冬鳥ウォッチをスタートさせました.その結果を簡単に報告いたします.

 2006年の調査では、合計12人の方から41件の情報をお寄せいただきました.都道府県別では,北海道,宮城県,東京都,長野県,福井県、滋賀県,徳島県から各1件,千葉県と神奈川県各2件,石川県6件、栃木県8件、富山県17件でした.思ったより情報件数が伸びなかったのは,調査方法がやや漠然としていて捉えどころがなかったためでしょうか.それでも,今冬は調査対象とした6種すべてが記録されました.ただ,やはり,カワラヒワが最も多く29件,マヒワ13件,カシラダカ12件、アトリ10件、ハギマシコ8件,イスカ1件でした.

 図1に各種の記録状況をまとめました.カワラヒワは1〜20羽の群れが14件と多かったのですが、21〜50羽の群れも10件記録されました。また、カワラヒワの最大羽数は70羽でした.マヒワは,1〜20羽の群れと21〜50羽の群れがそれぞれ8件と5件が記録されましたが、マヒワの最大羽数は40羽前後で101羽以上の群れはまったく記録されませんでした。カシラダカは1〜20羽の群れが7件と最も多く,せいぜい51〜100羽までが記録されたにすぎませんでした.一方、アトリはそのほとんどが1〜20羽の群れでしたが、200羽前後の群れが2件、北陸地方で記録されました。ハギマシコは神奈川県と栃木県、富山県から情報があり,神奈川県では51〜100羽の個体数ランクが1件(個体数87羽)ありました.イスカは長野県から1件(2羽)があったのみでした.

図 1. 2006/07年冬期の冬鳥の群れの大きさと件数


 今回,集まった情報が41件と少ないため,これらの結果がこの冬の全国におけるこれらの鳥たちの生息状況を的確に表しているかどうか疑問が残りますが,少なくともイスカは著しく少なかったと言えるでしょう。また、平地林や丘陵林に普通に生息するアトリは200羽前後の群れが記録されたものの、多くは個体数ランクが低く、マヒワともども渡来数が少なかったと言えそうです.一方,情報件数がやや多かったカワラヒワや比較的普通に生息するカシラダカの生息状況の良し悪しは,来年以降の冬鳥ウォッチの結果と比べる必要があります.

なお,今回の情報をお送りいただいた方の中に,ウソが例年より多いという報告が4件ありました.実際,関東地方の平野部のちょっとした公園のツツジの植え込みや桜の木に群れが観察されました.中にはお腹が赤味を帯びた亜種アカウソも混じっていましたので,大陸からも冬鳥として多数飛来していたのかもしれません.

バードリサーチで行なっている他の調査も同じですが,このようなモニタリング調査は,一人でも多くの方に参加していただき長年継続して実施することで,鳥たちの動向を把握することができます.2007年の冬はどうでしょうか。ご協力のほど宜しくお願いいたします。





最後に調査にご協力いただきました方のお名前を,以下に記してお礼に代えさせていただきます.新井清雄,石崎友紀子,今森達也、加藤俊哉,黒沢令子,白井康博,高井健慈,高橋邦年,長野大輔,平野敏明,平山聖人,森 要 の各氏(五十音順).